図録表紙

 

テーマ『地びき網漁の生活』−日高町産湯海岸―

内  容

「海」は和歌山県の特徴を考えるうえで、とても重要なテーマです。これまでも特別展『古代の塩づくりと海』(1995)や企画展『海辺のくらし』(1999)などで、和歌山の海に関連した歴史や文化を紹介してきました。今回は、漁師の暮らしについて紹介するため、日高町の地びき網漁について展示をします。漁の技術だけでなく、それと密接に結びついた漁村の生活について、実際の道具や写真・模型などを使って具体的に展示します。 資料館の企画展示室では、主として昭和前期まで使用されていた民俗資料や模型などを通して、地びき網を中心にした漁村の生活を展示します。また調査で収集した古写真からは、地びき網の盛んであった時代の活気が伝わってきます。また園内に野外展示している漁家(旧谷山家住宅)では、家のどの部分でどのような仕事がなされたかが分かるように民俗資料を展示します。旧谷山家住宅横にある日高町の和船では、船の上での地びき網の作業がどのように行われたのかを、道具を実際に使ってみるなどして、漁労活動を具体的に理解してもらいます。 期間中は、学芸員によるスライドや調査記録などによる展示解説も行います。

展示資料:

 地曳網関係資料:ロクロ(巻上げ具)・アホ(引き綱の調整具)・網・アバ(浮き)・イワ(錘)・ ダイ(手旗)・ウマ(網干し具)・ミトダル(樽浮き)・玉網・竹製生簀ほか  和船関係の資料:櫓・ナンバ(滑車)・シダ(修羅)・カングラサン(巻上げ具)・トマ(カバー) ・和船設計図板絵・アカトリ(船の水をかき出す)・カッチン(防水処理用塗料)・ふいご式サイレン・カンテラ・トタン製タイマツほか  分配関係の資料:ヒキコ帳(漁の参加者名簿)・アタリ帳(網元会計簿)・しおり(分配時に使用)・ドヒョウカンゴ(鰯籠)・出納帳など経済的史料ほか  信仰関係の資料:フナガミサン(船魂)アタリ帳(エビス神祭祀の餅まき時の当選者名簿)・神饌・産湯八幡宮への奉納物・大漁旗ほか  漁村生活関係資料:衣食住に関する資料など   写真資料:撮影の地曳網作業風景写真(昭和30年代)・現地調査での漁業と年中行事  模型:アミブネの模型

開催期間平成12年10月1日(日)から11月23日(木・祝)

会  場:県立紀伊風土記の丘資料館(企画展示室)  国指定重要文化財 旧谷山家住宅・日高町産湯の和船